シルバー人材派遣とは?利用するメリットや注意点を解説!
シルバー人材派遣は、60歳以上の高齢者が経験や技能を活かして働ける仕組みです。地域の企業や公共団体からの依頼を受け、短期間・軽作業を中心とした仕事に従事します。
定年後も柔軟な働き方が可能で、生きがいや健康維持にもつながる点が特徴です。本記事ではシルバー人材派遣の仕組みや仕事内容、利用するメリットや注意点を詳しく解説します。シルバー人材派遣の利用を検討する際の参考にしてください。
シルバー人材派遣の仕組みとは?
シルバー人材派遣は、高齢者がその経験や技能を活かして働く機会を提供する仕組みです。
会員は原則として60歳以上の方々で構成され、企業や家庭、公共団体などからの依頼を受けて臨時的・短期的な業務を請け負います。会員は派遣契約を結び、派遣社員として業務に従事します。
シルバー人材派遣により、高齢者の生きがい創出や地域社会の活性化が期待できます。各地のシルバー人材センターは、地域のニーズに応じた多様な活動を展開しており、高齢者の社会参加と地域活性化に貢献しています。
シルバー人材派遣で請け負える仕事内容
シルバー人材派遣では高齢者がその豊富な経験と技能を活かし、多様な分野で活躍できます。具体的な業務内容は事務作業、技能職、一般作業、管理業務、対外業務、技術・サービス分野など、多岐にわたります。
シルバー人材センターは全国各地に設置されており、地域のニーズに応じて多様な業務を提供しているのが特徴です。
たとえば全国シルバー人材センター事業協会の統計によれば、清掃、除草、公園管理、自転車駐車場管理、子育て支援、介護補助など、多岐にわたる業務が行われています。具体的な業務内容として、以下のようなものがあります。
・事務分野: 一般事務、受付事務、調査・集計など
・技能分野:植木の剪定、大工仕事、障子・ふすま・網戸の張替え、刃物研ぎ、塗装など
・一般作業:屋内外の清掃作業、草取り・草刈り、農作業、包装・封入作業、チラシポスティング、除雪、お墓掃除・お墓参りなど
・管理分野:施設管理(宿直、日直)、公園緑地管理、体育館管理など
・対外分野:水道メーター検針、販売業務、文書配布など
・技術・サービス分野:絵手紙・書道講師、家庭教師、高齢者向け福祉家事支援サービスなど
シルバー人材派遣を利用して働くメリット
シルバー人材派遣を利用して働くのは、主に以下などのメリットがあります。
・年齢に関係なく働ける環境が整っている
・柔軟な働き方ができる
・経験やスキルを活かせる
・新しい仕事に挑戦できる
・健康維持や生きがいにつながる
・公的機関が運営するため安心して働ける
それぞれ詳しく解説するので、シルバー人材派遣に興味をおもちの方は参考にしてください。
年齢に関係なく働ける環境が整っている
シルバー人材派遣では、60歳以上の方が年齢に関係なく働ける環境が整っています。再就職が難しい高齢者でも、経験を活かしながら無理のない範囲で働ける点が大きな魅力です。
またシルバー人材派遣は一般の派遣労働とは異なり、労働基準法上の「労働者」に該当しない「請負・委任契約」形式が多いため、定年制度がなく、本人の希望と健康状態に応じて長期間働くことが可能です。
たとえば東京都内のシルバー人材センターでは、65歳を過ぎても働ける仕事として以下のような職種を紹介しています。
・オフィスでの事務補助(書類整理・データ入力)
・公園や施設の清掃業務
・子ども向け学習支援(家庭教師や学習補助)
・簡単な軽作業(袋詰め・商品の仕分け)
実際に、70代でも週3日ほど無理のないペースで働いている方が多く、年齢を理由に断られることがないことが大きなメリットとなっています。特にシルバー人材センターは定期的にスキルアップ講座も開催しており、新しい仕事への挑戦もしやすい環境が整っています。
柔軟な働き方ができる
シルバー人材派遣では、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
週1回の短時間勤務から、フルタイムに近い働き方まで選べるため、体力や生活環境に応じて無理なく働くことができます。特に定年後に「収入を得ながら無理なく働きたい」と考えている方にとって、大きなメリットとなります。
シルバー人材派遣では請負契約や短時間勤務の派遣契約が中心となるため、通常の正社員やアルバイトと比べても、働く時間や日数の自由度が高い点が特徴です。
たとえば、東京都内のシルバー人材センターでは「週1回・3時間のみの清掃業務」や「午前中のみの受付業務」など、短時間で働ける仕事が多数用意されています。また兵庫県のあるシルバー人材センターでは「月に数回だけの農作業補助」や「イベントスタッフ」として、スポット的に働ける仕事も提供されています。
無理なく働きたい、自由な時間も確保しながら収入を得たいという方には、シルバー人材派遣は理想的な選択肢となるでしょう。
経験やスキルを活かせる
シルバー人材派遣では、これまでの職業経験や培ったスキルを活かして働くことができます。定年退職後でも専門知識や技術を求める仕事が多く、自分の得意分野を活かせるため、充実感をもって働くことが可能です。
シルバー人材派遣では、単純作業だけでなく事務職・技術職・接客業・教育関連など、専門性を求める仕事が多数あるのが特徴です。特に指導・アドバイザー業務や技術職では、高齢者の経験が重宝されています。
たとえばシルバー人材センターでは、以下のような職種が提供されています。
職種 | 活かせる経験・スキル |
---|---|
事務補助 | 書類作成、データ入力、電話対応 |
技術職 | 電気工事、設備管理、大工仕事 |
接客・販売 | レジ業務、受付案内、観光ガイド |
教育関連 | 家庭教師、講師、塾の補助スタッフ |
農業・園芸 | 農作業補助、造園管理、花壇整備 |
定年後もこれまでの知識や技術を活かして働きたいと考える方は、シルバー人材派遣の利用を検討しましょう。
新しい仕事に挑戦できる
シルバー人材センターでは新しい職種に挑戦しやすいように研修制度やサポート体制を整えているため、未経験でも安心して仕事を始めることができます。
たとえば定年後に営業職から図書館の整理業務に転職可能です。事務作業に不慣れでも、センターのサポートを受けながら仕事を習得できます。ほかにも長年専業主婦だった方が医療機関の受付業務に挑戦できるほか、元工場勤務の方が理数系に強いことを活かして家庭教師として勤務可能です。
このように定年後のキャリアチェンジを考えている方にとって、シルバー人材派遣は魅力的な選択肢のひとつだといえます。なお、チャレンジできる職種は利用するシルバー人材センターによって異なるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
健康維持や生きがいにつながる
シルバー人材派遣で働くことは体を動かし、社会と関わる機会をもつことで健康維持につながります。また、生きがいを感じながら充実した日々を送ることができるという大きなメリットがあります。
シルバー人材派遣では長時間労働ではなく無理のない範囲で働くことができるため、健康を維持しながら働ける環境が整っているのが特徴です。定期的に仕事をすることで、身体活動の機会が増え、認知機能の低下を防ぐ効果も期待できます。
退職後も健康を維持して充実した日々を送りたい方にとって、シルバー人材派遣は最適な選択肢のひとつです。
公的機関が運営するため安心して働ける
シルバー人材派遣は営利目的の派遣会社とは異なり、高齢者が安心して働ける仕組みが確立されているのが特徴です。
シルバー人材派遣を運営するシルバー人材センターは、厚生労働省の指導のもと「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて設置されています(出典:https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068)。さらに全国には約1,300のセンターがあり、自治体の支援を受けながら運営されているため信頼性が高いのが特徴です。
またセンターでは、労働基準法や高齢者雇用安定法に基づいた適正な就業管理がされているため、働きやすい環境が整っています。就業中の事故に備えて労災保険に相当する「シルバー傷害保険」に加入できるため、万が一の際も補償が受けられるのもポイントです。
定年後も安全に働きたいと考える方にとって、シルバー人材派遣は適した選択肢となるでしょう。
シルバー人材派遣を利用する場合の注意点
シルバー人材派遣を利用する場合の注意点は以下のとおりです。
・勤務時間や就業条件に制限がある
・請負契約と派遣契約の違いを理解する必要がある
・仕事内容によっては体力的な負担が大きい場合がある
・収入が安定しにくい場合がある
・仕事の紹介が希望どおりにいかないことがある
デメリットを理解して納得したうえでシルバー人材センターを活用するようにしましょう。
勤務時間や就業条件に制限がある
シルバー人材派遣ではフルタイム勤務ができないことがあるため、長時間の継続的な仕事を希望する方にとっては希望どおりの働き方が難しい場合があります。
シルバー人材派遣の仕事は「臨時的・短期的または軽易な業務」に限定されているため、一般的な派遣労働とは異なり、長時間勤務や連続的な雇用が難しいという特徴があります。
たとえば1日の勤務時間は4~6時間程度が一般的であるうえ、週の勤務時間は原則20時間以内とされるケースが多いようです。
そのため収入をメインに考えるのではなく、生きがいや健康維持を目的とする方に適している働き方だといえるでしょう。
請負契約(委任契約)と派遣契約の違いを理解する必要がある
シルバー人材派遣の利用にあたり、契約形態によって働き方や指示の受け方が異なるため、事前にしっかり確認しておく必要があります。
シルバー人材センターでは請負契約(委任契約)と派遣契約の2種類の働き方が提供されているのが特徴です。多くの業務は請負契約または委任契約で行われ、派遣契約は一部の業務に限定されています。
請負契約(委任契約)はシルバー人材センターと依頼主が契約を結び、会員は直接指示を受けることなく作業を行うのが特徴です。一方、派遣契約では企業の指示のもとで働くことになり、通常の派遣労働と同様の形態となります。ただしシルバー人材派遣は短時間・短期間の業務が中心のため、一般的な派遣労働とは異なる点もあることを覚えておきましょう。
契約形態を事前に確認し、どのような働き方が自分に適しているかを考えながら仕事を選ぶことが重要です。
仕事内容によっては体力的な負担が大きい場合がある
シルバー人材派遣では比較的軽作業が多いものの、仕事内容によっては体力的な負担が大きくなる可能性があります。清掃作業や農作業など、長時間の立ち仕事や重いものを運ぶ業務もあるため、自分の体力に合った仕事を選ぶことが大切です。
シルバー人材派遣では、以下のような業務で体力を使うケースが考えられます。
・屋外作業(公園清掃・草刈り・農作業)
・運搬作業(荷物の積み下ろし・倉庫内作業)
・長時間の立ち仕事(販売業務・受付業務)
また事故やケガが発生しやすい業務として「屋外作業」や「運搬作業」が挙げられます。特に夏場の屋外作業では熱中症のリスクが高まるため、注意が必要です。
事前に仕事内容や勤務時間を確認して無理のない範囲で働ける仕事を選ぶことが、長く健康的に働くためのポイントです。
仕事内容が希望どおりにいかないことがある
シルバー人材派遣では希望する仕事がすぐに見つからないことや、希望とは異なる業務を紹介される場合があるため、事前に仕組みを理解しておく必要があります。
シルバー人材派遣では希望職種や勤務条件に制約があるため、実際の就業までに時間がかかるケースが多い傾向にあります。さらにシルバー人材派遣の仕事は企業や自治体からの依頼によって決まるため、人気の高い業務には応募が集中して競争率が高くなる場合があることを覚えておきましょう。
また、短期間やスポット的な仕事が多いため、安定した勤務を希望する場合は適さない可能性があります。希望の仕事が見つからない場合はまず短期間の仕事に挑戦し、経験を積むことで、より条件の良い業務につながる可能性があることを理解しておくとよいでしょう。
柔軟な考え方をもってさまざまな仕事を経験することで、新しい可能性が広がることもあります。
シルバー人材派遣を活用して派遣社員として働く場合、確定申告の必要はある?
シルバー人材派遣を通じて派遣社員として働く場合、所得税の確定申告が必要かどうかは、収入の種類と金額によって異なります。
雇用契約に基づく給与所得であれば、通常、年末調整が行われるため追加の確定申告は不要です。しかし、請負契約や委任契約による収入は「雑所得」として扱われ、一定の条件下で確定申告が必要となります。
通常では収入から必要経費を差し引いた額が20万円を超えると、確定申告が必要です。ただし、公的年金等の収入が400万円以下で、そのほかの所得が20万円以下の場合は確定申告は不要とされています。
たとえばシルバー人材センターからの年間収入が75万円で、実際の必要経費が5万円の場合を考えます。この場合は特例により55万円を必要経費として差し引くことができるため、雑所得は75万円-55万円=20万円となります。
公的年金等の収入が400万円以下で、そのほかの所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。
シルバー人材派遣を利用した場合の派遣の給料はいくらくらいになる?
シルバー人材派遣を利用した場合の給料は、仕事内容や契約形態、地域によって異なります。
シルバー人材センターでは高齢者が生きがいをもって働けるよう、臨時的で短期的、または軽易な業務を提供しています。そのため就業時間は月に10日以内、週20時間未満とされており、収入もそれに応じた水準となっています。
一般的には月に8~10日程度の就業で、月額3~5万円程度の収入が得られるとされています。ただし、専門的な技能を要する業務や地域の最低賃金の影響により、収入が変動することがあることを知っておきましょう。
シルバー人材センターの派遣は派遣法違反に当たらない?
シルバー人材センターの派遣事業は労働者派遣法(派遣法)に違反するものではなく、特例として認められています。通常の派遣事業とは異なり公益的な目的で高齢者の就業を支援するための制度であるため、法律上の特例措置が設けられています。
労働者派遣法(派遣法)は、企業が労働者を雇用せずに他社の指揮命令のもとで働かせる「労働者派遣」を適切に管理するための法律です。しかしシルバー人材センターは、営利目的ではなく高齢者の就業を支援するための公益法人として運営されているため、一定の条件下で派遣事業が認められています。
厚生労働省によると、シルバー人材センターは以下のような条件のもとで特例的に派遣が可能です。
・対象となる業務が「臨時的・短期的または軽易な業務」に限定されている
・会員(60歳以上)の自主的な働き方を尊重する形で運営される
・労働基準法・労働者派遣法に基づき適正に管理される
・派遣の対象となる業務は、厚生労働省が定めたガイドラインに準拠する
ただし、シルバー人材派遣は長期のフルタイム派遣や正規雇用に代わる働き方としての利用は認められていません。
まとめ
シルバー人材派遣は、60歳以上の方が経験やスキルを活かし、無理なく働ける仕組みです。柔軟な働き方ができ、公的機関が運営するため安心して利用できます。
健康維持や生きがいにもつながるため、定年後の働き方を考えている方は、シルバー人材派遣の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
-
引用元:https://www.hotstaff.co.jp
「あなたに近い派遣会社」をコンセプトに、地域に密着した活動を展開する派遣会社!-
スタッフ一人につき一人の担当が付き万全のバックアップ体制でサポート!迅速で手厚いフォロー体制で安心!
-
地域密着型で一人ひとりに寄り添った仕事探しを提供
-
各種保険や有給休暇のほかPコンシェル、ハラスメント対策、女性活躍推進法など福利厚生も充実!
-